2010年10月1日金曜日

Dr Shah 最終日

 今日はいよいよDr Shahの最終日です。
 一番複雑な症例をA君が症例提示してくれました。
 72歳の女性で、30年前にペースメーカー植え込みを受けていましたが、昨年、ペースメーカーリードに三尖弁が巻きつき、三尖弁閉鎖不全を起こしたため、他院で三尖弁置換術を受けましたが、術後脳梗塞を発症し、その一週間後に弁感染を起こし、再度三尖弁置換術を受けることになった既往があります。他院退院後、近医より往診管理を受けていましたが、入院の一週間ほど前から徐々に呼吸困難が進行し、尿量も低下してきたため、当院受診し、胸部レントゲンにて右胸水と肺うっ血を指摘されて入院となった方です。
 心電図では、心房細動と左軸偏位が認められ、胸部レントゲンでは、右に比較的大量の胸水が認められました。
 また、入院後、利尿薬にて下肢の浮腫は改善してきたものの、両上肢の浮腫が進行してきているとのことでした。
 ベッドサイドでは、irregularly irregular の脈で、触診ではparasternal heave が認められ、聴診では、心尖部でS1の亢進とmid diastolic murmurが、心基部ではearly diastolic murmur が聞こえました。
 ベッドサイドの心エコーでは、僧帽弁のドーミングが見られ、僧帽弁狭窄と肺動脈弁逆流と大動脈弁逆流が認められました。
 病態としては、僧帽弁狭窄→肺うっ血→肺高血圧→右心不全が疑われましたが、比較的大量の右胸水の原因はわからないままでした。
 様々な検討を要する、複雑な症例でした。
 症例提示してくれた研修医のA君は、本当にご苦労様でした。Good job!

 これで、今年のDr Shah のcardiology teaching round は終了です。
 また来年の再会を約束して、別れました。

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